組織と個人と暗黙知と形式知をSECIモデル(セキモデル)で紐解く
暗黙知と形式知の関係と、どのように知識が組織で成長していくかをSECIモデル(セキモデル)で紐解きます。
前提
私はシステム開発者であるため具体例がシステム開発者寄りの内容になっています。
SECIモデルとは?
SECIモデルは野中郁次郎氏と竹内弘高氏らが提示した広義のナレッジ・マネジメントのフレームワーク。
SECIモデルは
- S ocializaiton
- E xternalization
- C ombination
- I nternalization
の頭文字からなる。
知識変換の4つのモード (Four modes of knowledge conversion)
-- | Name | English | From | To |
---|---|---|---|---|
共同化 | Socializaiton | 暗黙知 | 暗黙知 | |
表出化 | Externalization | 暗黙知 | 形式知 | |
連結化 | Combination | 形式知 | 形式知 | |
内面化 | Internalization | 形式知 | 暗黙知 |
詳細は場コンセプトと合わせて説明する。
場コンセプト(Concept of 'Ba')
場 = Context。
SECIの4つのモードと対応する4つの場がある。
-- | Mode | Ba Japanese | Ba English |
---|---|---|---|
共同化 | 創発場 | Originating Ba | |
表出化 | 対話場 | Dialoguing Ba | |
連結化 | システム場 | Systemizing Ba | |
内面化 | 実践場 | Exercising Ba |
創発場
創発場は個々の感覚・感情・経験・メンタルの世界。
共同化モードに対応する。
自己と他者との壁を取り払いフェイス・トゥ・フェイスでやり取りすることが知識の移転の鍵となる。
例えば ペアプログラミング や KPT などの 振り返り や 分報 がこれにあたるでしょう。
対話場
対話場では他者が理解できる形に暗黙知を表現することが求められる。
外部化モードに対応する。
以下の2つが鍵になる
- 暗黙知の明確な表現 - 暗黙知から形式知への変換 - のために言語化・比喩・概念化・ビジュアル化などの力が必要となる。
- 暗黙知を人々が理解できる形に変換する必要がある。それには帰納・演繹や創造的な推測能力
物事を抽象化 してとらえ、それをパターンランゲージ形式で抽出する、というものここはあたるだろう。
最近広がってきている グラフィックレコーディング はこの領域かな?
また Confluence, Qiita:Team, esa, DocBase, Kibela などの 情報共有ツール などでサポートしやすい領域です。
システム場
システム場は仮想世界における相互作用の場である。
連結化モードに対応する。
オンラインネットワーク・グループウェア・ドキュメント・データベースがこの転換を促進する。
外部化と同様に Confluence, Qiita:Team, esa, DocBase, Kibela などの 情報共有ツール などでサポートしやすい領域です。
形式化された知識が組み合わさり、さらに新たな知識が生み出されていく。
ここはツールを入れたからといってすぐに促進されるわけでもなく、
形式知を連結化していくような取り組みを先導する人 や、
形式知を連結化するマインドを持つ人物 が所属しているかどうかが重要そうに思います。
実践場
実践場は形式知から組織の暗黙知への転換の場である。
内面化モードに対応する。
テキストやビデオなどのマニュアルを 実践する ことによって個人の暗黙知としてみについていく。
形式知を実践して個人のスキルにする。
ここでようやく形式化した知識が実際に役に立つ戦力になります。
そして各自の中で育ったさらなる暗黙知がさらに創発場に向けてループしていくことになります。
イメージ
SECIモデルとその周辺
SECIモデルとアジャイル開発
日本のアジャイル開発を先導してきた平鍋健二さんがアジャイル開発の文脈で SECIモデルにふれています。
アジャイル開発とスクラム~顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント
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SECIモデルとトヨタ
そもそもアジャイル開発の源流はトヨタ生産方式 => 海外へ => Lean Software Development という流れなので、
経験知の活用に関しても関わりが深いようです。
SECIモデルとと情報共有サービス
情報共有のサービスを提供している Qiita:Team も DocBase も SECI モデルについて言及しているのが興味深いです。
まとめ
情報共有ツールを導入している企業は少しずつ増えてきたと思いますが、
みなさんの所属する組織はSECIモデルでいうところのどのモードをフォローできていますか?