Empowerment Engineering

内発的動機づけをソフトウェア開発の力で支援する

熟達と関わる人との関係について考える

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最近仕事と人に関わる自分の体験や、他の人からの経験談を聞いて
「熟達と関わる人」について考えをまとめてみたくなりました。

てぃーびーのケース

私はシステム開発を行うソフトウェア開発者です。
私の経歴としては

  1. 新卒時代に自社で開発を行う受託開発会社に勤務
  2. 受託開発の現場に下請けとして派遣される(自分の会社の所属としては正社員)
  3. 親会社のシステムを開発するシステム会社(現在の所属会社)
  4. Webサービス開発(現在副業でお手伝いしている会社)

の種類を経験しています。

1の現場

1 の現場ではメンターのお陰で素人の状態から自分で調べながら仕事を回せる状態までおしあげてもらいました。
ただ、あまりに稼働が多く、このままいたら死ぬと思い退職しました。

2の現場

2 の現場はあちこちに一人で派遣されていたこともあり、特に話す相手もいないことが多く、
モチベーションはどんどん下がり1番スキルが伸びていなかった時期だと思われます。
紆余曲折を経て、2の終盤に業務外で個人的な学習をしまくるようになり少しずつスキルを上げることができてきました。
1 の会社では「言われた仕事をできる」レベルだったのに対し、自ら学習した内容をもとに自発的に改善提案をして、
実際に自身で手を動かしたり、周りも巻き込んで生産性を上げたりできるようになりました。
ただ、2 の現場には「プログラミングは好きではないが、生活のために仕事をしている」というタイプの人が多く、
他の人から何かを学び取る機会はあまりありませんでした。

そして、異常な残業量・立場が上がるにつれ開発業務から離れていってしまうことにモヤモヤして
ツイッターで「Rubyの開発ができる会社に転職したいな」と呟いたことをきっかけに今の会社に転職することになりました。

3の現場

3 の現在の会社では多数のメンバーが強い技術的関心を持っています。
技術が好きで、テックトークに花を咲かすことができます。
そしてこういった人たちと一緒にしると、たとえ相手が若手や職務経験が浅かったとしてもお互いに学ぶところがあります。
それは単純に技術の話しだけではなく「考え方」や「発想」に関わる部分も含めてです。

4の現場

4 の現場は非常に優秀な開発者の方がいて、開発者以外のメンバーも自律的に動ける優秀なメンバーのみに囲まれてます。
主にリモートで業務を進めているのですが、 チャットツールのSlackで各自が考えていることを書き出しながら仕事をしてくれています。
おかげで、周りの切れ者が何を考えているのかをテキストで読むことができます。
そこから各自が何かを閃いたり、学び取ったり、ということが日常的に行われています。

総括

個人学習に没頭し、一人で派遣されていた時、業務外で学習はしていたので知識やスキルは伸びていたものの
常に近くに優秀な仲間がいる状況と比べるとその視野は狭く、閃きの頻度は低く、自身の能力の伸びもかなり遅いものだったように思います。

一定以上の能力とモチベーションがある人が集まっている場にいると、熟達の速度は段違いになるのではないだろうか?
知識の交換。発想の交換。相互作用。その効果は計り知れないのではないだろうか?
ということを最近強く感じています。

他の方から聞いたケース

  • 一人の優秀なリーダーがいなくなった途端にメンバーの成長が止まってしまった
  • 今思うと過去のひどい現場でもかなり色んな改善ができたはずに思う
    • それはスキル面も発想面も含めた上で、より恵まれた現場での経験を積んだからこそであろう
  • 一緒に働く人で会社を選びたい
  • あの人が辞めたら辞める

以上のような内容から、優秀な同僚と仕事をすることはモチベーションにおいても能力の伸びについても
大きな効果を持っているように見えます。
逆にやる気のないメンバーの比率が高い組織にいると、尻拭い的なタスクを受け持つ比率が上がってきます。
そうなると本来自身が得るはずだった知識・経験を獲得する比率もさがってきます。

だからこそ「入社・退社理由として、一緒に働く人の問題」というのをよく聞くのではないでしょうか。

まとめ

熟達のためには優秀な仲間がいることが強いアドバンテージになると考えられます。
そのためには多くの優秀な人材が長くとどまり続けたいという組織である必要があります。
さらにその組織に優秀な人材が多くいる、ということを外部から見て分かるような状態にしておく必要があります。
そして優秀な人材が多くいるということが嘘ではないということを信じてもらえる状態になっている必要があります。

優秀な人に相応の待遇と環境を与え、新たな優秀な人をひきつける。
組織を熟達したメンバーで満たしたいならこういった取り組みが必要になるのではいかな?
そしてそれが一定規模になるとほっておいても「すごい人と仕事をしたいすごい人」がどんどなあつまってくるのではないか?

そんなことを考えています。