Empowerment Engineering

内発的動機づけをソフトウェア開発の力で支援する

自律性(Autonomy)の4つのTの一つ、チーム(Team)

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内発的動機づけに関する3つの要素「自律性」「熟達」「目的」の一つである、
自律性には4つのT、時間(Time)、時間(Time)、手法(Technique)、 チーム(Team)があります。
今回はチーム(Team)についてまとめます。

※内発的動機づけ、自律性それぞれについて知りたい場合は自前に下記リンク先をご確認ください。

empowerment-engineering.hatenablog.com

empowerment-engineering.hatenablog.com

自律性とチーム

与えられたチーム

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大抵の場合、自分が所属するチームおよびチームメンバーを選べないケースの方が多いと思います。

メリット

職務に必要なスキルを持ったメンバーの組み合わせや、ベテランと新人の組み合わせなど、
実際に目的となる業務を達成するためのチーム構成にしやすいです。
教育の観点においても、スキルセットの異なるメンバーが関わるように
随時チームを組み替えることでよい効果が期待できます。

デメリット

個人の相性や働きたいと思うメンバーと働けるかどうかは運になってしまう、という点があります。
特に相性の悪いメンバー同士が長期間同じチームに所属することはプロジェクトの失敗リスクを高めたり、
モチベーションの低下から 離職率の上昇 につながることが予想されます。
特定のメンバーと働きたいという内発的動機を持つメンバーの生産性が上がる機会を損失する ケースも考えられます。

システム開発の現場において、AチームとBチームのリーダーが非常に仲が悪く
まともなコミュニケーションができないため、A-Bのシステム間の設計がゆがんでしまった。
両チームのコミュニケーションはサブリーダー同士を通して行うなど、
不仲によって本来発生しなかったはずの問題やコストが発生することは実際に経験としてあります。

その他にも、仲の悪いメンバーが取っ組み合いの喧嘩をして翌日には片方が現場を去るなど、
人と人の問題は甘く見ることができない重要な要素です。

私は複数の下請け会社が参加する様々なシステム開発の現場に参加したことがあるため、
この種の人間の問題を多く見てました。

自ら選んだチーム

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自らチームを選べるケースは比較的レアだと思います。
チームメンバー全員で新たなメンバーの採用に参加するようなケースなどは時折Webの情報でみかけます。
Atlassian社は Ship it day や過去のGoogle社の20%ルールのような施策であれば、
その範囲内であれば好きなチームで仕事ができることになるでしょう。

自律性というテーマを考えると、そもそも自律しているメンバーで構成されたチームでなければ
自律したチームそのものの存在が成立しにくいという点もあると考えられます。
そういう意味では自律しているメンバーのみで構成されているチームを選ぶことができるかどうか、 という点だけでも大きな価値がありそうです。

メリット

働きたいメンバーと働けることでモチベーションがあがり、生産性が高まることが予想されます。
相性が悪いメンバーと一緒に仕事をする必要がなく、かつ尊敬するメンバーと一緒に仕事ができることで
離職のリスクは両面の理由から低下することが予想されます。

デメリット

職務に必要なスキルを持ったメンバーの組み合わせや、ベテランと新人の組み合わせなど、
実際に目的となる業務や社内の人材育成目標を達成するためのチーム構成にしにくくなります。
人気のあるメンバーと働きたいメンバーが集中することが予想されます。
全面的に自由にチームを構成するには、誰もがかなり広範の高いスキルを保持し、
どのメンバーでチームを組んでも大抵の業務目的は達成できる状態になっている必要があります。

まとめ

好きなチームを選べることは、個人から見るとメリットが大きく目立ちますが、
組織から見ると好きなチームを選べる制度の全面導入はかなり難度が高そうに思います。

現実的には20%ルールや短期の特別なプロジェクトでチーム選択の自由を
提供するというのが落とし所になるように思います。
開発合宿とかもいいですね。

より大きな意味では、会社選びの時点で
「この会社に所属している人であれば、誰と働いても充実できる」
と感じられるような会社に入る。
会社側もそういったメンバーのみを採用する。
というのが理想形かもしれません。

あなたは今働きたいメンバーと働くことができていますか?

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参考図書

リンク先の書籍を参考にしています。

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