内発的動機づけの三大要素の一つとしての「自律性(Autonomy)」とは?
内発的動機づけに関する3つの要素「自律性」「熟達」「目的」のうち、
自律性についてまとめます。
※内発的動機づけについて知りたい場合は自前に下記リンク先をご確認ください。
empowerment-engineering.hatenablog.com
自律性とは?
自律性とは自分で考え、選択し、行動することです。
自律性の反対は他律性で、他人からの命令・強制によって行動することです。
自律性と4つのT
自律性には4つの基本要素(4つのT)があります。
- 課題(Task) - 取り組む課題を選ぶことができること。Google社やAtlassian社の20%ルールもこれにあたる。
- 時間(Time) - 時間ベースの評価や決まった固定化された勤務時間ではなく、自由な時間帯・稼働時間を与えること。
- 手法(Technique) - 課題の進め方、手法を選択する自由を与えること。
- チーム(Team) - 課題を取り込むチームを選択する自由を与えること。
それぞれの「T」については下記の記事にまとめてあります。
empowerment-engineering.hatenablog.com empowerment-engineering.hatenablog.com empowerment-engineering.hatenablog.com empowerment-engineering.hatenablog.com
内発的動機づけと自律性
チームの構成メンバーが内発的動機を持つメンバーの場合は、4つのTにより自律性を保護することで、
その能力をより大きく発揮してもらえるでしょう。
逆に、内発的動機を持たず指示通りに黙々とこなすタイプのメンバーや、
自由にすると何もしなくなってしまうメンバーの場合は4つのTを制限し、
ルール・制約によって管理するほうが効果的でしょう。
また、現状では実力や経験が不足しているため強い内発的動機づけを持たなかったり、
自律した行動自体がうまくできない新人については、
その人が対応可能な範囲の自律性を発揮できるようにして、
ルール・制約という補助輪やメンターによって支援するのがよいでしょう。
少しずつ慣らして、補助輪を外していくのがよさそうです。
具体例
私の転職前後の組織を比較すると、その差がよく見えます。
以下のレーダーチャートは、私の転職前後の組織を4つのTで比較してみました。
各数値は以下のルールで数値化しました。
点数 | 内容 |
---|---|
0 | 全く自由がない |
25 | 多少の自由がある |
50 | ほどほどに自由がある |
75 | かなりの自由がある |
100 | 完全に自由である |
このレーダーチャートの面積が大きいほど「自律性」の度合いが高い組織、ということになります。
転職前
4つのT | 自由度 | コメント |
---|---|---|
課題 | 25 | 基本的に割り当てられた課題を担当するため、 ほぼ課題選択の自由度はありません |
時間 | 0 | 勤務時間は決まっており・・・というか毎日朝から終電まで固定でした |
手法 | 25 | チームとしての手法はほぼ固定されており、 個別の個人タスク内については保守に影響しない範囲で自由に選択できます |
チーム | 0 | チームメンバーの選択権はほぼありませんでした。 |
個人的には制約にめげずによりよい方法を提案していくタイプであり、こういった環境においても
チーム単位の改善を提案していました。
しかし、その自由度は大きなものではなく与えることができたインパクトも限定的でした。
より良くできることがわかっているが、実施することができない。
改善できるはずが、改善できずに長時間労働に従事している。
こういった絶望感は着々とモチベーションを奪っていきました。
転職後
4つのT | 自由度 | コメント |
---|---|---|
課題 | 75 | 各自ある程度担当は決まっているものの、 そもそもその担当は各自のやりたいことやできることに合わせてあります |
時間 | 25 | 勤務時間は固定で、基本的に自由はありませんが定時勤務です |
手法 | 100 | 目標を達成することができるなら手段は問いません。 チームメンバーに影響を及ぼす範囲の手法も提案し納得してもらえるものであれば導入可能です |
チーム | 75 | 直接の採用権はありませんが人材の紹介をしたり採用自体に 関わることができているため現在は仕事をしたいメンバーと仕事をしています |
大きめのタスクのゴールのみを与えられて、手法・スケジューリングなど各自の自律した行動に
委ねられます。転職直後はあまりの落差に「こんなに自由に大海原に解き放たれてよいものだろうか?」と不安になるほどでした。
採用にも関与して尊敬できる仲間を選び、自分でタスクを選び、自分でスケジューリングして、
自分の手法で仕事をすすめることができます。
仕事は楽しく、転職前に改善できるけど組織の制約で改善できなかったようなことを思う存分
改善できるようになりました。
自律性と世間の声
Twitterで働き方についてアンケートをとってみました。 母数は多くないので参考程度ですが、自律性を大事に思っている方が多くいることが伝わってきます。
どんな働き方が好きですか?
— てぃーびー (@tbpgr) 2016年8月20日
参考図書
リンク先の書籍を参考にしています。