内発的動機づけと外発的動機づけの比較
内発的動機づけと外発的動機づけとは?
内発的動機づけとは、好奇心や関心など自分自身の内からなる動機づけです。
外発的動機づけとは、お金や物など外からの報酬からなる動機づけです。
比較
内発的動機づけ
- 前提としてその領域に対して強い関心・好奇心が必要となる
- 効果は長期的
- 外発的動機づけに比べると実施方法が明確ではない
- 創造的な領域に関して効果を発揮しやすい
外発的動機づけ
- 内発的動機づけの前提となる強い関心・好奇心がない領域に関しても有効に働く
- 効果は短期的
- 実施方法がシンプルでわかりやすい
- 報酬を与える
- 罰を与える
- 最低限の外発的な報酬は内発的動機づけの前提としても重要となる
- 例えば最低限の給与や公平感のある報酬が与えられていること
具体例
内発的動機づけを外発的動機づけが打ち消すケース
とあるシステム開発の現場の話です。
あるソフトウェア開発者が正月休み中に勉強した内容を上長に質問されていました。
彼は、自分が関心を持っている分野の学習をしたことを上長に返答しました。
すると上長は激怒し「 仕事に関係ない分野なんで勉強せずに関係ある分野を勉強しろ! 」と2時間以上叱り続けました。
仕事に関係のある分野を学習した場合、会社の評価・報酬に結びつく可能性は高いです。
しかし、彼はこのやりとりによって自分が関心を持っている分野の学習も、
仕事に関わる分野の学習もしなくなってしまいました。
元々内発的な動機を持っている人物に外発的な動機づけを元にした行動を強いると
逆効果になる事例だったと今思い出して感じました。
内発的動機づけのきっかけを外発的動機づけでつくり出すケース
大学時代。私は強く関心を持っている領域もなく、就職先の職種も特に決まっていませんでした。
その時かなり年上の知人から「フリーのプログラマーをしている友人がお手伝いのアルバイトプログラマーを欲しがってるんだけど、
単価もコンビニのバイトとかに比べてすごくいいし、未経験でいいと言っているので手伝わない?」というお誘いを受けました。
ここで私は高単価アルバイトという外発的動機づけをきっかけにアルバイトを始めました。
はじめて出会ったプログラミングというお仕事はとてもおもしろくすぐに夢中になりました。
アルバイト外の生活でも好きなゲームのホームページを作って、JavaScriptを使って稚拙なじゃんけんっぽい対戦ゲームをつくるようになりました。
そう、仕事に関わる領域で内発的動機を持たなかった私に動機づけをしてくれたのは外発的動機づけだったのです。
まとめ
時代の流れとして、単純作業は段々とコンピューター・ソフトウェアの力で自動化されていく傾向にあるように思います。
人は人にしかできない創造的な活動をすることに集中していく方向にあり、それを踏まえると内発的動機づけが大事に見えます。
内発的動機づけは強い関心・好奇心を前提としており、すべての人が最初からこれを持っているわけではありません。
そこできっかけづくりとして外発的動機づけが力を発揮するケースもあります。
逆に内発的動機づけが既に存在する領域で外発的動機づけを強要すると、逆効果になってしまいます。
そういった領域についても外発的動機づけを活用してしまっている場面は
まだまだ多く存在するように見受けられます。なぜでしょう?
3人の娘の子育て中の妻と会話をしてみました。
妻は子育てにおいて「娘達が本当にしたいこと」「本当に納得して行動すること」を大事にする、
つまり「内発的動機づけ」を優先することが大事だと考えています。
また、「アメ」と「ムチ」による外発的動機づけはあまりしないでいたい、と考えています。
しかし、現実には余裕がなかったり、どのように内発的動機づけをすべきかが難しくその対応方法が分からず、
結果としてアメとムチを使ってしまう、という話をしていました。
(念のため補足しておきますが、体罰などはしていません)
つまり、
「 外発的動機づけは、実践しやすく短期的な効果もわかりやすい 」というメリットを持つ。
「 内発的動機づけは、実践方法がわかりにくく短期的な効果もわかりにくい 」というデメリットを持つ。
というのが、内発的動機づけ存在するにも関わらず外発的動機づけを使ってしまう原因ではないかと推測します。
そこで、当ブログのような場所で「内発的動機づけ」について体系化したり、
その支援方法について検証、実践、体系化をすることで内発的動機づけの認知度を上げ、
支援の実践の難易度を下げることが重要であるように感じます。
さらにIPA認定の スーパークリエータ である石丸 翔也氏による心の状態を可視化するシステム「 心温計 」のような
技術が進んでいくことで内発的動機づけの扱いの難易度がさらに下がるように思えます。
参考図書
リンク先の書籍を参考にしています。