やったほうがいいことを「やりましょう」といってもらえるコミュニケーションについて考える
組織・チームにおいて、理屈で考えると明らかに改善することが好ましいことがあるとします。
例えばワークフローを変更することで年間1億円の費用を節約できる、というようなケースです。
ズバーン!と正論で端的にそのことを伝えても人が動かないケースは多々あります。
このようなケースについて掘り下げるために、
コミュニケーションにおける期待と行動の関係について考えます。
予想と期待
話の前提として予想と期待について整理します。
予想とは?
物事の結果について検討をつけること。
期待とは?
何かが実現することを望みつつ待つこと。あてにして待つこと。
行動と予想・期待
第三者の行動を促す、という観点における予想と期待に関して考えます。
第三者にある情報を与えた場合に、それが特定の未来を予想させるだけでは行動につながりにくいです。
逆に、特定の期待につながると行動につながりやすい。
例えば子どもに
「そろそろご飯ができるから、お片付けしてね」
よりも
「そろそろあなたが好きなハンバーグができるから、お片付けしてね」
のほうが大好きなものが出来上がる未来に向けた期待感から
行動を促しやすいと考えられます。
期待を促すもの
相手に与える情報をもとに想像される未来がただの予想になるか、
期待になるかの違いは何によるだろうか?
大きく分けると2つになると考えます。
- その人にとってポジティブな何かを得ることができる
- その人にとってネガティブな何かを回避することができる
ポジティブなものとしては夢への道が進むことであったり、金銭であったり、承認であったり。
ネガティブなものとしては危険の回避であったり、ストレスの回避であったり。
それぞれ人が重きを置く価値は違いうので、具体的な内容は様々だと思います。 そのため各個人がどのような価値観を持っているかなど、相手について詳しく知っていることが重要になります。
また、組織・チームにおいて、ビジョン・ミッション・バリューなどが浸透していると
各メンバーの期待が重なる面積が大きくなることが予想されます。
期待と行動
期待の大きさと、それを実現するためのコストのバランスをみて人は行動を選択するだろう、
と考えられます。
例えば行動のコストの中には「リスク」があります。
「リスク」に対する個人の価値観や気質によってこのバランスは大きく変わるでしょう。
漠然とした不安を膨らませやすい人物にはリスクの具体的な内容を細分化して具体的に把握できるように
すると、より現状に即した判断をしてもらえる可能性が高まるでしょう。
まとめ
まとめてみましたが、「そんな簡単じゃないよな」と思うところも多々あります。
とはいえ、普段からこういった内容を徹底できているかといえばできていないので、
泣き言は行動してから言うことにします。
例えば、やったほうが好ましいことが実施されないとき。
- やったほうが好ましいことがどれだけ好ましいか細かく伝わっているか?
- そもそも自分の理解は曖昧ではないか?
- 相手の不安を煽るような伝え方をしていないか?
- 相手に正しく伝えることができているか?
- それをやりたくない人がなぜやりたくないのか、どんなことを考える人なのか具体的に把握しているか?
そういったことを細かく砕いていくと、障壁となっていた課題が見つかり
一つずつクリアしていくことで「期待>コスト」に変わって行動にこぎつけるように思います。
その道があまりに遠く見えたときにはお別れの挨拶をするのでしょうが。
補足
人に行動してもらう上で、信頼残高など他の要素も色々あると思いますが、
この記事は「期待」に着目した、ということで他の要素については考えていません。